提携専門家相談事例

もう間違えない!保険料と保険金!? ー損害保険の仕組みを正しく理解するために最も大事な概念とは??ー


みなさんこんにちは!企業損害保険コンサルタントの増木です。

本日は「損害保険」や「法律上の損害賠償」という考え方の基礎を正しく理解していただき、みなさんの日常生活や、保険の事を考えていただく際のヒントとして、とても重要なキーワードをご紹介させていただきます!

「保険料」と「保険金」

かなり保険の事について詳しい人でも、保険料と保険金を言い間違えてしまったり、

え?どっちも同じじゃないの?という方を意外にも多くお見受けします。

これはとても大切なキーワードなので、改めて知識の整理をしておきましょう!

『保険料』とは?

保険会社と結んだ保険契約に基づき、契約者が「保険会社に支払う料金」

となります。

※通行料、手数料など、「○○料」は支払う料金の事ですね。

『保険金』とは?

保険会社と結んだ保険契約に基づき、契約者または保険金受取人等が

「保険会社から受け取るお金」となります。

『保険金』の意味をより深く理解させてくれる概念

損害保険の考え方の根本に、「実損てん補」という概念があります。

これは、事故発生前の状態に戻すための費用(実損害)を補完する、という考えです。

この概念は損害保険を理解する上でもっとも大切な項目のひとつと言えます。

これを理解することにより、多種多様な損害保険の仕組みの理解が簡単になります。

元の状態に戻すと言っても、そう簡単にはいきません。

同じものは手に入らない、親の形見だった、痛かった、辛い思いをした、など元に戻せないものもたくさんあります。

その場合は一定の基準に従って算出されるものの、被害を受けた方が必ずしも納得がいく結果になるとは限りません。

中にはまったく過失がない被害事故もありますから、特にそのような場合は納得がいかない結果になる事が多いですが、この社会で暮らしている以上、いつ自分が「加害者」「被害者」になるかわかりません。

逆の立場になることもイメージしながら、保険や法律の限界がある事は理解しておきましょう。

 

『保険金』の意味をより深く理解させてくれる概念

原則は「実損てん補」という法則ではありますが、損害保険の保険金の支払われ方としては、大きく分けて「実損型」と「定額型」の2種類に分かれます。

■「実損型」 実損害の金額が保険金となる

 ⇒支払われる保険金の限度額を定めます。

■「定額型」 実損害とは関係なく定額が保険金となる

 ⇒支払われる保険金の基準額を定めます。

身近で分かりやすいのが、自動車保険における、運転者や同乗者のお怪我に関する項目です。

①「人身傷害保険」(実損型)

⇒治療費、休業損害、精神的損害、逸失利益、将来の介護料、葬儀費などを計算し、

実損害の金額が保険金として支払われます。

②「搭乗者保険」(定額型)

⇒死亡・後遺障害、手術の種類、通院日数などにより、定められた定額の金額が

保険金として支払われます。

 

どちらも補償の対象はまったく同じなのですが、保険金の支払われ方により、

区別されています。どちらが優れているという事ではありませんが、

①はマイナスとなった損害をゼロに近づけてくれる

②は①でゼロにはならない部分を付け足してくれる

そんなイメージでとらえていただけると良いかと思います。

※現在は②を廃止している保険会社もあります。

次に保険の見積もりやチラシ、証券などをご覧になる時には、

この補償は実損型の補償か?定額型の補償か?注意深くチェックしてみましょう!

『保険金額』を決める基準

企業用の賠償保険には、自動車保険の対人対物賠償のように「無制限」という設定は殆どの場合ありません。

一般的には実損型で限度額を決める事になります。

何が正解というのはありませんが、実務的にひとつの基準となっているのは「1億円」です。

対人事故1件、死亡事故があった場合の賠償金額が基本的に1億円を基準としている影響なのか、真相は定かではありませんが、「1億円」は業界ではひとつの基準になっていると言えます。
※もちろん1名の死亡事故で1億円を超える場合も存在します。


但し、万一を考えると1億円では少し不安なケースも多いかと思われます。

最近では3億円を限度額とするご契約も増えてきております。

業務上、取引先から賠償保険の加入の有無を問われたり、限度額を尋ねられることもあります。

業種の形態によっては、大勢の方が同時に死傷されたり、高額な対物賠償の可能性を視野に入れる必要があります。この場合、5億円~10億円程度の限度額を確保する事が取引の条件とされる事もあります。

特に旅行に関する業務や、鉄道関連の工事などは一つの事故で高額な賠償につながる可能性が高いため、必然的に限度額の高い保険が必要となります。

※3億円を超える補償の場合、事前に保険会社の審査が必要となるケースもございます。

限度額1億円の契約を3億円に引き上げても、一般的に保険料が3倍になる事はありません。

むしろ、あまり変わらない業種や商品もありますので、一度担当者に試算を依頼して検討してみましょう!

本日のまとめ

■保険料と保険金

⇒契約者が支払うのは保険料、保険会社から支払われるのは保険金

■損害保険の基本は「実損てん補」の概念

⇒実損型と定額型がある

■保険金額の基準は1億円~3億円

⇒業種によってはさらに高額な保険金額が必要となる事がある

いかがでしたでしょうか?
今回は、保険金額の基準やそもそもの実損てん補という概念についてお話をさせていただきました。
今後の皆さまの保険を考える時の概念として、頭の隅においていただけましたら幸いです。


事業者(企業・個人事業主)の賠償責任に関するご相談は随時お受けしております。

保険という狭い視野だけで考えるのではなく、業務全般やご意向を尊重した上で、多角的な視点と事業のご発展のサポートを含め、的確なアドバイスが出来るよう、努力させていただきます。

※ご相談いただいても、もちろん弊社で保険加入いただく必要はございません。
お気軽にお問合せください。

 

執筆者:企業損害保険コンサルタント・増木 新也

総合保険代理店 株式会社プレミアサポート経営者
企業の損害保険分野・リスク管理を専門とし、リスク管理や事故対応において顧客企業から大きな満足を得ている。また、オリジナルアプリを活用した顧客サービスや経営者支援のためのグループ運営、イベント企画など、ユニークかつ積極的な活動を行っている。

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