提携専門家相談事例

副業にもってこい?!なコインランドリー営業に必要な手続きとは

最近、街中でコインランドリーが増えてるように思いませんか?
先日、近所のベーカリーが閉店し、コインランドリーに様変わりしていました。そのような変化が街中でちらほらと見受けられます。コインランドリーの店舗数は、共働き世帯の増加などの影響で利用者が増え、1995年度には9200施設ほどでしたが、2019年度には2倍以上の2万1500施設を突破したと推定されています。また、ここ数年、サラリーマンの副業として脚光を浴び、投資対象として注目されているようです。
そんなコインランドリーですが、勝手に営業することはできません。開業するにあたり、保健所等の役所に届出をする必要があるのです。では、具体的にどのような準備が必要なのかを見ていきましょう。

営業する場所の用途地域の確認が必要

用途地域とは

建物の用途は地域ごとに決められています。これを用途地域と呼び、13地域に分類されます。この地域ごとに建てられる建物の用途・規模などが制限されますので事前に確認が必要なのです(東京都の「用途地域による建築物の用途制限の概要」)。
コインランドリーという業種は、自治体によって【工場】【店舗】のどちらに分類されるかが異なります。どちらに分類されるかによって出店可能な用途地域が異なりますので注意が必要です。

どこで確認するの?

出店する場所が概ね決定したら店舗予定地がどの用途地域になるのか、あらかじめ管轄の役所への確認することをお勧めします。ちなみに用途地域については、自治体により名称は異なりますが、「都市計画課」や「地域街づくり課」などといった名称の課が担当していることが多いです。役所の窓口で「用途地域の確認をしたい」と伝えれば、担当課を案内してもらえます。

店舗予定地でコインランドリーを開設できるか用途地域を事前に確認を!

コインランドリー営業には保健所への届出が必要

コインランドリーを営業する場合、営業するエリアを管轄する保健所に開設届(自治体によっては営業届)及び構造設備の概要(洗濯機等の配置図、店舗付近の見取図)を届け出る必要があります。開設届等は、各自治体のHPからダウンロードができます。

ちなみに、コインランドリーの正式名称は、コインオペレーションクリーニング営業施設といいます。そのため自治体によってはコインオペレーションクリーニング開設届(又は営業届)と記載している場合があります。クリーニング開設届ではありませんのでご注意下さい。

コインランドリーの営業を開始するためには保健所への届出が必要!

衛生管理責任者を置く必要がある

施設及び設備を衛生的に管理させるため、施設ごとに衛生管理責任者を置くことが各自治体の定めるコインランドリーの営業施設衛生指導要綱に定められています。

衛生管理責任者という資格はなく、営業施設の衛生管理の責任を負う立場の人のことで、コインランドリーの経営者の方が務めても問題ありません。

衛生管理責任者には、必要に応じて施設及び設備の衛生管理や、利用者に対し施設利用の注意事項に関して適切な指導助言を行うことが求められています。したがって衛生管理責任者は、営業施設に常駐又は近隣に所在し、管理の業務ができる者である必要があります。

営業施設には、常勤又は近隣に所在して衛生管理を行う衛生管理責任者が必要!

施設基準を満たしていることが重要

コインランドリーを営業するにあたり、施設基準を満たしているかどうかはとても重要です。開設届等の書類を提出した後、保健所の職員が施設基準のチェックを行いこれに合格しなければ営業を開始することはできません。施設基準は、各自治体が定めるコインランドリーの営業施設衛生指導要綱に規定されています。

自治体によって施設基準は多少異なりますが、概ね下記のような内容が記載されています。

・営業施設は、隔壁等により外部と区分され、かつ、外部から見通しの容易な構造で
あり、他の営業施設及び居住施設等と区画されていること。

・営業施設は、設置する洗濯機及び乾燥機の台数並びにこれらに応じた利用者数及び
付帯設備を勘案して、利用者の作業等に支障のない広さを有しているこ
と。
・採光、照明及び換気が十分行える構造であること。
・床面及び腰張りは、不浸透性材料を使用したものであること。また、床面は排水の
ための適当なこう配及び排水口を有し、清掃が容易に行える構 造であるこ
と。
・流水式手洗設備を備えること。

     (東京都コインオペレーション営業施設の衛生指導要綱 構造設備等の基準より抜粋)

先にも述べた通り施設基準を満たしていないと営業を開始することはできません。店舗図面等が完成した時点で必ず管轄の保健所に相談し、施設基準を満たしているか否か確認することが重要です。

施設基準については工事着工前に必ず保健所で事前確認!
その際、設備機器についても確認してもらおう。

市区町村によっては消防署への届出も必要

消防法第9条(火を使用する設備、器具等に対する規制)では下記のように規定しています。

かまど、風呂場その他火を使用する設備又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある設備の位置、構造及び管理、こんろ、こたつその他火を使用する器具又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある器具の取扱いその他火の使用に関し火災の予防のために必要な事項は、政令で定める基準に従い市町村条例でこれを定める。

この条文を受けて各自治体の火災予防条例等では「火を使用する設備等の設置の届出」が定められていて、乾燥設備等は火災の発生の恐れがある設備に該当し、設置するには管轄の消防署へ届け出ることが求められています。

ただ自治体によっては乾燥設備の性能や設置スペースの面積により届出を不要としている場合もありますので、管轄の消防署に図面等を持参し届出の要・不要を確認するとよいでしょう。

原則、管轄消防署への「火を使用する設備等の設置の届出」が必要!

最後に

コインランドリーの営業にあたっての届出は、提出書類も少なく許認可申請の中では比較的簡単な部類に入ります。ただ、店舗内工事や設備投資等で初期投資はそれなりの金額がかかりますので、修正の利かないミスは致命的になります。設備の購入又はリース契約前に、店舗工事着工前に関係各所に必ず事前確認を行いましょう。

 

執筆者:行政書士 曽山 満

行政書士事務所を平成26年1月に川崎市にて開業。許認可業務(古物商、飲食業、宅建業など)、国際業務(ビザ申請、帰化など)が主力業務。相談のしやすさときめ細やかなサービスには定評があり、多方面から相談・依頼を受けている。

曽山行政書士にオンライン相談を依頼する