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話題のFIREってなに?早期退職(リタイア)と違いは?

こんにちは、ファイナンシャルプランナー(FP)の大熊雅貴です。

皆さんは『FIRE』という言葉を耳にしたことはありますか?日本では昨年のコロナ禍で在宅ワークが進んできたあたりから耳にするようになり、ちょっとしたブームになっているようで、最近は相談者の方からも聞かれることも出てきました。

トランプさんのおかげで『FIRE』と聞けば「“クビ”や“解雇”のことでしょ?」と言っているオジサンが私の周りにも居ますが…もう古いです(笑)。最近の『FIRE』とは、Financial Independence Retire Early」の頭文字をとったもので、「経済的な自立・独立」を目指して「早期リタイア」を目指すこと意味する総称です。

もともとは10年ほど前のリーマンショック後のアメリカで広がり始めて、そこからヨーロッパや中国などへ飛び火して、コロナ禍も相まって世界的な広がりを見せているようです。過去も今も、大きな経済危機がきっかけになり、働き盛りの世代を中心に考えられているようです。

“FIRE”ってなに?

『FIRE』とは「経済的な自立・独立」を目指して「早期リタイア」を目指すことと書きましたが、私個人の解釈は『お金と時間を気にせず、好きなことをして生活する』イメージですので、『完全退職して働かない』とは少し違います

生活スタイルが多様化しているいま、仕事をする時間や場所を自分で決めたり、売り上げを気にせず夢だったカフェを開きたい!や、ボランティア活動を中心に生活したい!キャンピングカーで日本中を旅したい!など、いろいろなスタイルがあっても良いと思います。

日本でも、昨年のコロナ禍以降、在宅ワークを経験し、子どもと触れ合う時間が増えたり、都市部からのオフィス移転など、今までの一般的な働き方から大きく変える生活スタイルが、企業や社会でも受け入れられる様になり、FIRE実現を目指している人が出てきているようです。

私も、個人的にはこういった生活スタイルには賛成です。生きていくためのお金を得る手段として働くことは必要です。ですが、働くことを生きがいと感じる人もいれば、本当に充実した人生を送るために、仕事一辺倒ではなく家族とか趣味・社会貢献など、心から自分のやりたいことに時間を使いたいと思う方もいらっしゃることでしょう。

そんな自由な生活スタイルを目指す“FIRE”ですが、一部誤解もあるようです。『働かずに楽して生活したい人が目指すんでしょ?』とおっしゃる方もいますが、そうではありません!やりたい仕事があれば、働いて良いんです!(^^) 

お金にならないかもしれないけれど小説を書いてみたり、スーパーボランティアとして話題になった尾畠春夫さんの様に、困っている場所でボランティアとして働いても良し。自分の好きなように自分の時間を使い、自分の好きなことや自分の好きな人たちと時間を過ごすそんな生き方を実現するための一つの手段が「FIRE」なんです。ですので、必ずしも『お金持ちになって、働かずに贅沢な暮らしをしましょう』ということではないんです。

FIREと早期退職(リタイア)の違い

FIREも早期退職(リタイア)も、一般的には『定年退職よりも早くに退職する』というイメージですが、リタイアを迎えるまでの資産形成や老後の生活資金の考え方が少し違います。(注:あくまでも私の個人的なイメージです(-_-;))

早期退職(リタイア)の場合

早期退職の場合は、退職時に受け取った退職金と将来受け取る公的年金や預貯金などを元手に、少しずつ取り崩しながら生活していくイメージです。

日本では、ほとんどの方が60歳以降まで働きます。現在は65歳が公的年金の標準的な受給開始年齢に設定されており、それ以降は受給する年金の範囲で生活するのであれば働かなくてもなんとか生活できます。また、2021年4月から「高年齢者雇用安定法」(参考:厚生労働省パンフレット:「高年齢者雇用安定法改正の概要」)が施行されましたので、【60歳定年➔65歳まで雇用延長】となっていたのが、これからは【65歳定年➔70歳まで雇用延長】へと引き上がりました。
つまり、将来もらえる年金をふまえても、今後は65歳から70歳近くまで働くと考えるのが基本となりそうです。

FIREの場合

しかし逆に言えば、経済的な余裕さえあれば、65歳や70歳まで必ずしも働かなければならないという決まりはありません。『FIRE』の場合は経済的自立を目指して積極的に資産形成をし、退職後は資産(元本)を減らさないように運用益などで生活し、老後まで長期的に備えるイメージです。

60歳を区切りとしてリタイアしても、50歳代や40歳代でも早期リタイアしてもいいわけです。『FIRE』発祥(?)のアメリカでは、日本のような『定年退職』という考え方が元々ありません。若くしてリタイアし起業する方もいれば、世界最大の投資持株会社であるバークシャー・ハサウェイの筆頭株主で投資家のウォーレンバフェットさんのように、10兆円以上の資産がありながら90歳を超えてなお現役の方も居ます自分のリタイアするタイミングは、自身で決めればいいのです。

ただし、日本人の多くがリタイアを考えるのは『65歳』でしょう。なぜなら現実問題として「公的年金が始まるまでは無収入では生活ができない」からです。

FIREを目指すためには、早くから経済的な目標を立てて、自分の引退年齢を自身で決定しようというビジョンを持つことが必須であり、きちんと生活設計を立てて計画的に資産形成を実行していく『マネープランニング』が必須です。そのマネープランを立てる時期は、20歳代はもちろん、長い人生を考えると60歳代の方でも『今』が最良のときです。

終わりに

いかがでしたか?『FIRE』という言葉に対してイメージが少し変わりましたでしょうか?FIREというと、“若者の無謀なチャレンジ”といったマイナスイメージや、“お金持ちが考えることだから自分は関係ない”と感じる方も多いようです。しかし、きちんと生活設計を立てて計画的に資産形成を実行していくために『マネープランニング』を考える事は、『FIRE』に興味がない方でも、誰しもやらないより絶対にやった方が良い!とファイナンシャルプランナーとして断言できます。

次回のテーマは、実際に『FIRE』するために資金がいくら必要なのか?考えなくてはいけないことなどを中心に書いていきたいと思いますのでお楽しみに!

もし『マネープランニング』に興味を持たれた場合は、ぜひファイナンシャルプランナー等専門家に相談して、あなたの働き方・収入・考え方にあったアドバイスを受けてみましょう。

ぜひお気軽に、私たちのオンライン相談サービスをご利用ください。

 

執筆者:ファイナンシャルプランナー 大熊 雅貴

ライフプランのお金の見直しから住宅購入計画、年金・貯蓄の相談など、毎年150組を超えるご相談を受ける。自身の経験から得たノウハウとともに“かしこく生きる”アドバイスをしている、子育て世代のお金の悩み専門のファイナンシャルプランナー。

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