「今、お住いの購入を計画している方」「住宅ローン控除(減税)13の利用を検討している方」にご参考いただけたら嬉しいです。
こんにちは!ファイナンシャルプランナーの金坂浩之です。最近、お住いをご検討されている方と住宅ローン控除(減税)について「契約の期限がせまってきてますね~」なんてお話しになります。入居期限(2022年末)だけでなく、契約時期も関係あります。あらためて13年の控除受けるための要件、10年から13年になったときの控除(減税)額を事例をふまえて解説していきます。
住宅ローン控除(減税)改正の経緯
平成26年4月入居以降の方から、消費税8%への引き上げの反動抑制のため、対象となる住宅ローン借入額の上限を4,000万円(認定住宅は5,000万円)に引き上げ、住宅ローン減税額が大きくなっています。
さらに消費税率10%引き上げに対する反動減対策として、令和2年12月までの入居の方は控除期間を10年から13年に延長、コロナ特例として、入居期限を令和3年12月まで延長、令和3年度税制改正大綱には経済対策として、令和4年12月末まで延長となっています。
13年の控除(減税)を受けるための要件は?
期限は?
入居時期:令和3年1月1日から令和4年12月31日まで
契約時期:一定の期間
「一定の期間内」・・・とは?
注文住宅:令和2年10月1日から令和3年9月30日まで※注文住宅とは、ハウスメーカーや工務店と請負契約にて新築するイメージです。
分譲住宅:令和2年12月1日から令和3年11月30日まで※建売住宅、新築マンション等を売買契約で購入するイメージです。
□入居時期だけでなく、契約時期も確認しておきましょう。
□契約直前にバタバタしないよう住宅ローンの事前相談(借入の内諾)、総予算の相談などは早めにしておきましょう。
建物の要件
床面積:50㎡以上
ただし一定の期間内に契約し、令和3年1月1日から令和4年12月31日までに入居した場合は40㎡以上が要件となります。※40㎡以上50㎡未満の場合、所得制限(合計所得1,000万円以下)があります。
「一定の期間内に契約」とは上記と同じく、注文住宅は令和2年10月1日から令和3年9月30日まで、分譲住宅は令和2年12月1日から令和3年11月30日までです。
その他の要件
その他、従前と同じく、自ら居住すること、借入期間が10年以上であること、合計所得金額が3,000万円以下であることなどの要件を満たす必要があります。
住宅ローン控除(減税)額の計算方法
1~10年目:毎年末の住宅ローン残高又は住宅の取得対価のうちいずれか少ない金額(上限4,000万円※1)の1%
※1 新築・未使用の認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅)の場合、上限5,000万円
11~13年目:以下のうちいずれか少ない金額が3年間控除(減税)されます。
・住宅ローン残高又は建物の取得対価(上限4,000万円※2)のいずれか少ない金額の1%
・建物の取得価格(上限4,000万円※2)×2%÷3
※2 長期優良住宅・低炭素住宅の場合、上限5,000万円
このように計算しますが、わかりにくいので事例をもとにシミュレーションしました。
【ケーススタディ】控除(減税)額シミュレーション
《設定条件》
住宅の取得対価:5,000万円(土地2,000万円・建物3,000万円)
借り入れ額:5,000万円
金利:1.33%(フラット35、借り入れ期間21~35年、令和3年7月の最頻金利)
返済期間:35年(令和4年1月から返済)
以上の条件で『一般住宅』『新築・未使用の認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅)』をシミュレーションしてみます。※所得税、住民税から税金を控除(減税)する制度です。ご収入により税額が異なるため、実際の効果はこのシミュレーションより少ないことがありますので、あくまでもご参考情報となります。
【住宅ローンの残高】
上記の住宅ローン年末残高の1%について40万円を限度に、所得税と住民税(一部)から控除(減税)されます。
【シミュレーション①】一般住宅
10年間の控除(減税)額の合計:397.27万円
13年間の控除(減税)額の合計:457.27万円
【シミュレーション②】新築・未使用の認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅)
10年間の控除(減税)額の合計:435.27万円
13年間の控除(減税)額の合計:495.27万円
あらためて住宅ローン控除(減税)の効果って大きいなぁと感じずにはいられません。将来の『繰り上げ返済資金』『住宅メンテナンス・維持費』になりますし、積立投資の原資にして、『教育資金』『老後資金』にできるかもしれません。あるとついつい使いたくなっちゃいますので、使いみちやマネープランを考えておいたほうがよさそうですね(笑)
話は変わりますが、今後の税制改正で、この制度の見直しも検討されていきそうです。今は、1%の控除率よりも実際は低い金利で借りていても1%を控除しています(借り得状態)が、控除額を実際に支払った利息までにするなどの案があります。そうなると金融機関では金利競争からサービス拡充(団信の保障を手厚くする・・・とか?)の方向になっていくのでしょうか?いずれにしても、状況に応じてより良い選択ができるように情報収集していこうと思います。
以上、13年の住宅ローン控除(減税)を受けるための要件、実際の控除額についてまとめてみました。ご参考いただけたら幸いです。
さいごに
住宅ローン控除(減税)の効果は大きいので上手に活用したいものです。マイホームの資金計画では、住宅ローンのことでも、金利の選択(変動or固定)、借入期間、ローンの組み方(単独、ペア、連帯債務、収入合算)、団体信用生命保険の保障内容…など検討することは様々。また、住宅を購入後の、定期的な修繕費用、税金や火災保険などあらたな支出もあります。
私たちFPはこういったお住いの資金計画の諸々のサポートをしていますので、「相談できる人がいないなぁ」という方は、いつでもご相談下さい!
執筆者:ファイナンシャルプランナー 金坂浩之
千葉県出身 1976年生まれ 1級FP技能士/CFP®/社会保険労務士
大手ハウスメーカー、生命保険会社にて実務、相談経験を積む。相談者一人ひとりのライフプラン実現を支援するコンサルタントとして活動中。