最近、コロナの影響もあり、ミニマムな初期投資で、自分が持つ資格や経験を活かそうとされている方が増えてきているようですね。
先日、私も友人からリラクゼーションサロン開業の相談を受けました。友人はロミロミマッサージ(ハワイの伝統的オイルマッサージ)の施術経験を活かして自宅でサロンを開業したいとのことでした。土日休みを利用した副業という位置づけのようです。
相談内容は、サロンを開業する際に資格や保健所からの許可とか必要なの?というものでした。
私の友人のように自宅を利用しリラクゼーションサロンやエステサロンなどの美容系サロンを開業する場合、資格や許可などが必要なのでしょうか?注意点などを含め、いくつかのパターンを見ていきたいと思います。
リラクゼーションサロンを開業したい場合
①資格取得の必要性
日本でリラクゼーションサロンを開業する場合、実はほとんどのケースで資格取得の必要はありません。下記の施術も民間資格はありますが、それらの資格がなくても問題なく施術できます。
・ロミロミ
・アロマトリートメント
・リフレクソロジー
・ボディーケア
・ドライヘッドスパ※ etc...
※ウェット施術のヘッドスパは、美容師資格と保健所への開設届出書の提出が必要です。
では、保健所などの許可や届出についてはどうでしょうか?
②保健所の許可・届出の必要性
お客様の体を触ることを考えると、一見必要にも思えますが、お店の形態(自宅、賃貸店舗など)などを問わず保健所の許可も届出も一切不要です。
これはネイルサロンやエステサロン(お顔そりは除く)も同様で、開業にあたり資格の取得や保健所の許可・届出は必要なく、開業の要件ではありません。
リラクゼーションサロンの自宅開業は、施術の内容にもよりますが、思いのほかハードルが低いのです。
リラクゼーションサロンを開業する場合は、多くの場合、資格取得や保健所の許可・届出が不要!
では、どのような場合に資格や許可・届出などが必要となるのでしょうか?
疲れや不調の改善を目的とする「マッサージ」を行う場合
リラクゼーションの施術は心身の癒し(疲労回復)を目的とするものです。それに対し、体の疲れ・凝り・不調等の症状の改善を目的とする「マッサージ」は「医業類似行為」となり、国家資格(あん摩マッサージ指圧師)が必要です。また、開業にあたっては開業後10日以内に保健所への届出が必要です。
リラクゼーションの施術とあん摩マッサージ指圧師の「マッサージ」は上記のとおり施術の目的やアプローチがそもそも違います。リラクゼーションサロンで、あん摩マッサージ指圧師の資格を持たない施術者が「マッサージ」を行ったり、「マッサージ」で得られるような効能を謳うと違法となる可能性がありますのでご注意を。
リラクゼーションサロンの施術は「マッサージ」ではない!
まつ毛エクステンションサロンを開業する場合
まつ毛エクステンションサロン(マツエクサロン)ですが、マツエクの施術を行うには、美容師の資格(施術者が2名以上在籍するサロンの場合は、管理美容師免許が必要)が必要です。
また、開業する際には、開設予定日の10日前(自治体によって多少異なる)までに保健所に美容所開設届出書を提出しなければなりません。マツエクサロンは美容所としての取り扱いになりますので要注意です。
届出書を提出後、美容所としての要件を満たしているか保健所の実地検査を受ける必要があります。検査の結果、問題なければ晴れて開店です。
下記は、世田谷区世田谷保健所が出している美容所開設までの流れと開設時に必要な書類、施設の構造上の要件です。
~世田谷区世田谷保健所 美容所のてびき より~
マツエクサロンの開業をお考えの方は、事前に管轄の保健所へ相談に行かれることをお勧めします。
マツエクサロンの開業は、美容師資格と保健所への開設届出書の提出が必要!
まとめ
今回は美容系サロンの開業についてお話をしました。
リラクゼーションサロンの場合は、ほとんどのケースで資格や許可・届出が必要ないことがお分かりいただけたかと思います。ただ、開業するサロンの内容が許可・届出が必要かどうか判断に迷われる方は、管轄の保健所にお問い合わせすることをお勧めします。
また、自宅で開業する場合、賃貸物件にお住いの方は要注意です。賃貸借契約書に居住以外の用途使用を禁止している場合は、大家さんや管理会社から事業に使うことを承諾してもらう必要があります。賃貸物件で開業をお考えの方は、賃貸借契約書をしっかり確認しましょう。
最後に、どのような業種においても個人で開業する場合、事業開始後1か月以内に管轄の税務署へ個人事業の開業・廃業等届出書の提出が必要ですのでお忘れなく!
・リラクゼーションサロンはほとんどのケースで資格や保健所の許可・届出が不要
・リラクゼーションサロンの施術は「マッサージ」ではないので注意が必要
・マツエクサロンは美容師資格と保健所への開設届出書の提出が必要
・賃貸住宅で開業する場合は、大家さんや管理会社からの承諾が必要
・税務署への個人事業の開設届の提出は忘れずに!
執筆者:行政書士 曽山 満
行政書士事務所を平成26年1月に川崎市にて開業。許認可業務(古物商、飲食業、宅建業など)、国際業務(ビザ申請、帰化など)が主力業務。相談のしやすさときめ細やかなサービスには定評があり、多方面から相談・依頼を受けている。