こんにちは!FPの倉島幹生です。
皆さん、クレジットカードって、何枚持ってます?
私は細かい管理が面倒なのと、シンプルな環境が好きなので、クレジットカードは1枚しか持っていませんが・・・
カードマニアの友人に聴いたところ、なんと「8枚のカードを使い分けている」らしく、世の中には、そんなツワモノもいるんだなぁ。と感心した次第です。
さて、今回は、クレジットカード。老後を迎えるにあたり「断捨離すべきかどうか?」ご相談者の方から質問がありましたのでお答えしたいと思います。
クレジットカード。減らした方がいいですか?
2021年。60歳のお誕生日に定年を迎え、その後は嘱託で現在の仕事を継続するというAさん。個別相談の中で、こんなことをお聞きになりました。
・現在クレジットカードを4枚持っていて、すべて利用中。
・ポイント目的や、よく利用するお店で作ったカードがほとんど。
友人に聞くと、整理した方が良いという意見と、老後はカードを作れないので持っていた方がいいという意見があり、迷っている。
という事でした。
なるほど。現在はいろいろなお店でクレジットカードが作れる時代ですし、日常生活を送るためにクレジットカードはとっても「便利」です。ご自身の生活スタイルに合うカードなら所持していたいところですよね。
しかし、日々の生活の中で、あれよあれよという間に「自然発生的」に増殖していくクレジットカード。いつの間にか、お財布の中がクレジットカードでパンパン!なんて人もいるのでは?
その整理に困っている人も少なからずいるはず。
ましてや「判断力」が落ちてくる「老後」を迎えたらどうなるの?って、ちょっぴり心配ですよね。
今回は、「老後」に備えて、「クレジットカードを整理しようかな?」「クレジットカード断捨離した方がいいかな?「クレジットカード作りすぎちゃったかな?」
と、考えている人のために、老後の「クレジットカード」事情について一緒に考えてみましょう。
クレジットカードの平均保有枚数は?
そもそもクレジットカードって、皆さんどのくらい持っているんでしょうか?
ちょっと興味が湧いてきたので調べてみました。
一般社団法人日本クレジット協会の調べでは、日本の成人人口比で、1人当たり約2.8枚(2020年3月現在)が平均だそうです。
なるほど、1人2~3枚か。。。意外と少ないのかな?
と思うかもしれませんが、成人でもクレジットカードを所持していない人も居ますから、3~4枚が、実際の平均なのかもしれませんね。
前述の私の友人(クレジットカードマニア)は「8枚!」という事で、さすがはマニア。平均の2倍以上です。
※ここでの枚数はあくまで一般社団法人日本クレジット協会の算出した平均値と、筆者の友人のデータを用いています。読者の皆様の保有枚数の多い、少ないを判断するデータではありませんのでご注意ください。
「複数持ち」のメリット・デメリット
さて、クレジットカードを複数枚持つことで、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
複数持つとこんなメリットが
利用するお店ごとに独自のサービスやポイントをフル活用!
良く使うお店、ネットショッピング、ガソリンスタンドの支払い、スマホ代の決済等、クレジットカードは様々なステージで活躍しますよね~。
日々発生する様々な支払いに対して、そのお店で作ったカードを使用することでより「お得」なサービスや還元率の高いポイントをゲットする事ができますね。
そう!皆さん大好きな「ポイント」ゲットも大きな魅力です。
様々なお店でカード支払いが可能
JCBやVISA、マスターなど、クレジットカードのブランドも様々なのですが、お店によっては「このカードブランドは駄目よ~!」というお店もあります。複数ブランドのカードを所持することで、「あれ?このカード使えない!」という事態を避けることができます。
無料で付いてくる保険も大きくなるかも?
やはり万が一の補償は無いよりも有った方がいいですよね。クレジットカードには無料で損害保険が附帯されていることが多いのですが、その保険も重複して受け取れる保険金があるのでお得です。傷害保険金などがそれに当たりますね。
より多くの保障が付く安心感!またムダな保険の整理もできますので、お得感は大きいですね。
じゃ、複数のカードを持つとどんなデメリットが?
支払いの管理がタイヘン!
カード枚数が増えれば増えるほど、カード会社への支払いのタイミングも増えます。支払日が違ったりすると、そのスケジュール管理も煩雑になってメンドクサイですよね。
ポイントが分散されちゃう
みなさん「ポイント」好きですよね?好きでしょ?
ポイント還元率が高いのは嬉しいけれど。お買い物をする先を分散する事で、もらえるポイントも分散されます。ポイントの貯まるペースも「ゆっくり」になっちゃいますね。結果的に、「あれ?なんか、あんまりお得じゃないぞ!?」なんてこともあるかもしれませんね。
年会費がかかる場合も?
「年会費永久無料!」は現在主流ですが、世の中そんな素敵なカードばかりではありません。この年会費についてもしっかりと管理をしないと、初年度が過ぎたら会費が発生していた!という事もアリがちなので、注意してくださいね。
カード保有はメリット・デメリットをちゃんと比較する
クレジットカードは、様々なメリットがありますが、だからと言ってむやみに枚数を増やすと管理やポイント、コストの面で苦労そうですね。
普段から、皆さんの生活の中で「これ必要?」「やっぱりいらないかな?」といった取捨選択を心がけることも大切ですね。
「老後」に備えてどう考えるか?
さて、ここまでは・・・一般的な「メリット・デメリット」をお伝えしてきました。
が、今日のテーマは「老後に備えて」どうするか?
でしたよね?
物事の管理って、年を重ねると面倒だな~って思いませんか?
老後にクレジットカードが多いと困ることって?
本人の死後、遺された遺族がメンドクサイ
人生の最後を迎えた後、その整理をするのは残されたご家族です。カード枚数が多いとその枚数分だけ最終の支払いや解約の手続きが必要になります。メンドクサイですね。
もしキャッシングなどの借り入れがある場合は、その借入はご遺族が一括で返済をする必要があります。いいメイワクですね。
解約しないでそのまま放置すると、年会費もかかり続けますから、遺されたご遺族が負担するときは「なんじゃこりゃ?」ってなりますよね。
私が死んだ後に、借入を息子に負担させるのはハズカシイし、年会費1200円くらいで恨み言を言われるのは面白くないし、少なくとも年会費のかからないカードのみにダイエットしておこうかな・・・な~んて考えてしまいます。
認知症になると親族でも銀行口座をイジレナイ
「私は認知症にならない」
私を含めて。じぶんは認知症にならないと思っている人は多いはずです。根拠のない自身ですね。
まあ、認知症になった時はそんなことすら忘れているかもしれないので、せめてそう思って今を過ごしたいものです。仮に認知症になったとしても私自身には、なんのデメリットもないのですが、私を介助する家族はタイヘンです。
親が認知症になると、本人の財産を守るために銀行はその口座を凍結します。
そうなってしまうと、実の子供でも親の銀行口座を管理することは出来ません。クレジットカードの支払い口座が凍結されると、子供たちはタイヘンでしょうね。もしかしたら生きている間に「カード支払い」を子供に頼るなんてことがあるかもしれません。
「じぶんは大丈夫」かもしれませんが、あなたを介助・介護するご家族の負担を減らす作業は、元気なうちにしておいた方が、後悔はしないでしょう。
認知力が落ちる前に「必要なカード」を見極める
どうやら自分の意思とは関係の無いところに、「老後」や「介護・認知」の問題はあるようですね。
あまり考えたくはないですが・・・
加齢とともに認知力も落ちてくる事を考えると、いろいろと整理をしていく段階が来るのは仕方のないことですよね。
これはクレジットカードに限った話ではありません。
自分の終わりを考えていろいろ整理する。。。「終活」とも言われる「アレ」ですね。
ご相談者さまは現在の年齢が60歳という事で、まだまだ「若い」世代です。老後に備える十分な時間もありますし、認知力低下の心配はそこまでしなくても良いかもしれません。
しかし、整理をする、整理をしないは判断力のあるうちに!
終活アドバイザーの中村なつえさん(一般社団法人終活協議会:認定講師)によると、判断能力がしっかりしている「今」だからこそ、ご自身の「お金」のことについてはしっかりと準備をしておく必要があるとの事。
「整理をした方が良いかな?」と思った時が「その時!」かもしれません。
少しづつシンプルな暮らしに変えていくことで、心にもゆとりが出来るのではないでしょうか?
カード整理のために必要なこと
判断力がある今は
そのカードが「必要か?」「不要か?」ご自身で判断しておくことが重要ですね。
判断できなくなった時のために
家族に財産を管理してもらう必要が出てきますので、家族信託の活用や、遺言書やエンディングノート(法的効力はない)で準備をしておくと安心かもしれませんね。
いずれの場合も、その後のトラブルを未然に防ぐためにも「身近な家族との充分な話し合い」をすることをおススメします。
と、同時に司法書士、終活アドバイザー、FPなどの「専門家」に意見をとりいれるのも、必要なことかもしれません。
このコラムでは細かい話はしませんが、国は様々な制度や法律で皆さんの財産を「守る」方法を提供しています。しかし、国は「伝えるのが下手くそ」なので、メリットのある情報や知っていると役に立つ情報が皆さんに届いていません。
我々FPがその橋渡しになれるといいですね。
まとめ
◆クレジットカードは便利だが、保有枚数はほどほどに
◆「断捨離」は、判断力があるときにやっておく
◆「専門家」を上手に使おう
執筆者:ファイナンシャルプランナー・倉島 幹生
大手証券会社・保険会社での勤務を経て、30歳で独立。FP歴は23年。個人の資産形成やライフプラン相談業務の他、マネーセミナー講師やFP向けセミナーなどの金融教育も多数行う。