FP相談事例

もしこのまま独身の場合、老後資金は必要なの??

お金の事って独身の方は関係ないの??

こんにちはファイナンシャルプランナー(FP)の河野です。
前回、最後にお金の事って家族持ちだけが準備すればいいの?って質問をよく質問を受けます。と記事に書かせて頂きました。
お客様からFP関係のブログ等はよく見たりするが、多いのが住宅資金に関する事や、家族の事等、あまり独身の方について聞く事がないとの印象でした。

結論から申しますと、独身の方からの相談は多いですし、老後資金についてどうやって準備したらいいけどよく分からないというお客様は多いです。今回はある独身のお客様からの相談事例を記事にさせて頂きたいと思います。

39歳独身男性のお客様からの相談

☆今回の相談者☆
男性 39歳
現在賃貸マンションにお住まいで財経貯蓄を毎月2万円ずつ。
ボーナスを年間30万円財形に。

〈相談内容〉
結婚はタイミングが合えば考えているが、もしこのまま独身のままだったらこれ以上貯蓄をする事は必要なのか。

少し前にテレビや雑誌等のメディアで老後資金が2,000万円足りない、必要と言っていた。実際は2,000万円貯めればいいの?それとも足りないの?

どう試算したらいいのか分からない。

会社では財形貯蓄をしているが、このまま続けていいのだろうか?増えてはいるけれどそこまで増えている実感はない。

□1回目のお打ち合わせ〈状況のヒヤリング〉□

今は賃貸マンションで一人暮らしだが、このまま独身の場合は老後、実家に帰る予定。
財形貯蓄を毎月2万ずつ。ボーナスを年間30万円財形貯蓄に。
財形で貯まった金額現在約300万。
その他の貯蓄はなく貯蓄方法はこの財形貯蓄のみ。

※状況は以上の通りですが、皆さんもここからは以下の4つに注意し逆算して状況に応じてご自身に当てはめてください。

①老後の年金額はいくらなんだろう?
②老後の生活費はいくらになるんだろう?
③何歳まで生きるんだろう?
④不足分はいくらになるんだろう?

では、会社の財形でしっかり貯蓄もしているのになぜ相談にいらっしゃったのか。
なぜ、それでも老後に不安を抱いていたのか。

答えは以下の注意点にまとめてあります。

👉財形はあまり増えないと分かってはいるが、給与天引きが楽で、いつの間にかお金が貯まっていることに安心感を持っていた。

👉漠然と老後が心配と思ってはいたが、具体的に何に対してどれくらい足りないかが分かっていなかった。

この2つがお客様の漠然とした老後の不安が出てきたものになります。
ここで先程の①〜④を具体的に解決していきます。

□2回目のお打ち合わせ〈実際の不足金額を確認する〉□

まずは、上記を踏まえ老後の不足金額を算出致しました。

※ここから記載ものはあくまで簡易的な物です。実際のやり取りはより具体的なものになります。

❶老後のもらえる年金額を早見表を参考に算出(国民年金+厚生年金)
👉年金額約144万円 月に換算すると12万円。

❷老後の生活費は約月22万円(あくまで独身であった場合と仮定)

❸月々の不足分を算出
👉❷ー❶で不足分は10万円と算出。

❹何歳まで生きるか。
👉82歳までと仮定。下記男性の平均余命を参照。
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/oldage/2.html

❹では実際の不足分は??
👉10万円×12ヶ月×17年(82歳ー65歳)=2040万円

このお客様の簡易的な計算ですと2040万円不足でした。

この日の相談では一緒に具体的に貯めなければいけない金額を共有致しました。
そして実際にその目標に向かってどういう計画性を持って貯めていくのか検討していくことになりました。

※漠然と給与天引きで貯めておりましたが、具体的な金額を話し合うことでお客様も目標が出来よかったとおっしゃっておりました。

□3回目のお打ち合わせ〈今後の提案と実行〉

現在貯蓄の2万円、ボーナス30万円をこのまま65歳まで継続されると仮定・・・

①2万円×12ヶ月×26年=624万円

②ボーナス30万円×26年=780万円

③財形で貯めた金額約300万円

①+②+③=1704万円

元本だけで1704万円。2回目のお打ち合わせで出た不足分2040万円に近い数字となりました。

 ここで重要なのは、お客様がおっしゃっていた財形だけではお金はほとんど増えないということ。あくまで今現在の年金額になります。

この男性が65歳になる26年後は今と同じ満額の年金額がもらえるとは限りません。インフレ(※1)もあります。

お客様もお金の運用を目的とされており、将来のインフレ等にも対応できる安心プランを求めてらっしゃいました。

※1 インフレとは・・・

インフレーションの略で、物の値段が上がりお金の価値が下がることを言います。

具体的には皆さんの周りで20年前は100円で買えていた飲み物が今では130円、150円払わないと買えなくなってしまったという経験はないでしょうか。

これがインフレです。ですので手元に100万円あったとして現在その買いたい商品が100万円だったとしても、20年後には150万円になってしまうことも無いとはいえません。これはその商品の値段が上がり、お金の価値が下がってしまう為、結果的に100万円では20年後その商品は買えなくなってしまいます。

〜もらえる年金額を現在の80%と仮定して〜

❶老後のもらえる年金額を現在の80%として算出
👉年金額約115万円 月に換算すると9.5万円。

❷老後の生活費は約月22万円(あくまで独身であった場合と仮定)

❸月々の不足分を算出
👉❷ー❶で不足分は12.5万円と算出。

❹何歳まで生きるか。
👉82歳までと仮定。

❹では実際の不足分は??
👉12.5万円×12ヶ月×17年(82歳ー65歳)=2550万円

先程の2040万円からもらえる年金額を現在の80%と仮定した際は、約500万程の差がでました。

〈ご提案〉
ここからは実際の金融商品(投資性)をご提案致しましたが、詳細については割愛させて頂きます。あくまで実際どのくらい必要なのかをこの記事では一番伝えたい所であります。

上記の事をお客様を一緒に考え、実行した事でお客様も何となく貯金していたが、具体的な目標数値が見えてよかったとおっしゃって頂きました。

〜漠然と老後資金に不安のある方へ〜

現在、老後資金がいくら足りない!等よく耳にするかもしれません。テレビや雑誌、YouTube、本当に情報が溢れていると思います。個人的には数字ばかりが独り歩きし、消費者側としても情報が多すぎてどうしていいのか判断がつかないようにも感じます。

人間一人一人違うように老後資金を準備する上での収入や生活水準等も一人一人全く違います。

ご自身では難しいシュミレーションもFPに相談する事で、目的、原因、解決と段階を踏んで導いてくれます。そして一人一人、お客様の考えに合わせたプランニングが可能です。一社専属商品ですと、どうしても偏った金融商品になることもあるかもしれません。

その点、FPの利点としては総合的に判断してくれます。投資信託と保険の組合せ等リスク分散の提案も可能です。

何より、今回のお客様は財形では中々増えないと分かっていながら行動に移せなかった事。そんな時、一歩踏み出す勇気を、背中を押してくれてありがとう!と言葉をいただいた事が本当に嬉しく思えました。

是非、どんな些細なこともまずはご相談頂けたらと思います。

一歩踏み出す勇気をお手伝い致します!

(執筆者・ファイナンシャルプランナー 河野 靖史

大手生命保険会社に就職後、1社専属商品だけではお客様のニーズには合致が困難と大手総合金融会社に転職。大手総合金融会社での経験を経て現在は独立系FPとして現在の会社に所属。担当顧客400人を超え、法人実務経験も豊富に持つ。

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