前回(【フリマアプリで副業!!】 ちょっと待って!それ、「許可」が必要かも。)は、中古品を売買する際に、古物商許可が必要となる場合があることをお話しました。今回は、個人の方が古物商許可を必要とする場合、許可を取得するための大事な要件や申請を行う上での注意点についてお話をしたいと思います。
古物商許可を得るためには、当然のことながら、許可の要件をクリアしている状態で、適切な申請を行うことが必要です。そのためには、まず大事な3つの要件を満たすことが必要です。
古物商許可を取得するための要件とは?
古物営業法は、許可が受けられない人を明確に定めています。申請される方が、以下の規定に一つでも当てはまってしまうと、古物商許可を受けることができません。
1.破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
2. 禁錮以上の刑に処せられ、又は古物営業法第三十一条に規定する罪若しくは窃盗罪、背 任罪、遺失物横領罪若しくは盗品等の運搬・保管・有償での譲受け等の罪を犯して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなった日から起算して五年を経過しない者
3.集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
4.暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第十二条若しくは第十二条の六の規定による命令又は同法第十二条の四第二項の規定による指示を受けた者であって、当該命令又は指示を受けた日から起算して三年を経過しないもの
5.住居の定まらない者
6.古物営業法第二十四条第一項の規定によりその古物営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない者(許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日前六十日以内に当該法人の役員であった者で当該取消しの日から起算して五年を経過しないものを含む。)
7.第二十四条第一項の規定による許可の取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該取消しをする日又は当該取消しをしないことを決定する日までの間に第八条第一項第一号の規定による許可証の返納をした者(その古物営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)で、当該返納の日から起算して五年を経過しないもの
8.心身の故障により古物商又は古物市場主の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
9.営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が古物商又は古物市場主の相続人であって、その法定代理人が前各号及び第十一号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。
10.営業所(営業所のない者にあっては、住所又は居所をいう。以下同じ。)又は古物市場ごとに第十三条第一項の管理者を選任すると認められないことについて相当な理由がある者
11.法人で、その役員のうちに第一号から第八号までのいずれかに該当する者があるもの
古物商許可を取得する1つ目の要件は、申請者が上記の欠格事由に該当しないこと。
古物営業での営業所とは、古物の売買・レンタル等を行う場所、ネット事業を行う場合は取引の事務作業を行う場所を指します。したがって、物品を管理するだけの倉庫・駐車場、本店登記はしているものの営業実態がないオフィスなどは、古物営業の営業所とはみなされません。
また、営業所は、申請者が一定期間の使用が認められている物件であること、物件の構造上、独立した営業所であることが求められます。
営業所は、営業所の独立性が確保できる空間であることが求められます。間借りのオフィスや居住スペースを使用する場合は要注意です!
賃貸物件を使用する場合は、物件のオーナー又は管理会社に使用の可否を確認し、営業所としての使用を認める承諾書の取得が可能であるか確認して下さい。
自己所有物件でもマンション等の場合は、管理規約等で専有部分の用途制限(住宅としての使用のみ)をしているケースがほとんどです。制限がある場合は、マンション管理組合や理事会などから使用承諾書を取得する必要がありますので、管理規約等を必ず確認をして下さい。
賃貸物件や自己所有のマンションの場合など、申請時に使用承諾の有無をほぼ間違いなく確認されますので、この点は事前に明確にしておくことが肝心です。使用承諾が得られない場合は、営業可能な他の物件を探す必要があります。
古物商許可を取得する2つ目の要件は、営業所として使用可能な物件を確保すること。
古物営業を行う際、営業所には業務を適正に実施する責任者として、管理者一人を選任しなければなりません。(個人の方の場合、申請者が管理者であるパターンがほとんどです。)また、下記にあてはまる方は、管理者となることができません。
・未成年者(原則不可)
・①の欠格要件に当てはまる方
・心身の故障により管理者の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
加えて、管理者に求められることとして
・常勤性(営業所が居住地から通勤圏内であること)
・扱う物品に関する経験と知識(特に時計・宝飾品類、自動車、自動二輪車及び原動機付自転車を扱う場合)
・申請者と雇用関係にあること(申請者と管理者が異なる場合、関係性を確認されます。)
などが挙げられます。
古物商許可を取得する3つ目の要件は、適切な管理者を営業所に1人置くこと。
以上、3つの要件を満たしていることをまず確認し、申請手続きを進めましょう。
申請手続きを進める上での注意点
申請書を作成する前に、管轄の警察署(生活安全課など)に事前確認を行うことをお勧めします。申請内容や必要書類について担当者とすり合わせを行うことによって、申請時に思わぬトラブルを回避するためです。
申請書を提出してから許可が下りるまで、通常でも40日(土日祝日を除く)の日数を要します。申請書や必要書類に不備があるとさらに日数がかかってしまいますので、申請前の準備を抜け目なく行うことがとても重要です。
多くの警察署では電話でも質問に対応してもらえます。ただ、可能であれば担当者にアポイントを取って、対面で確認作業を進めた方がよいでしょう。訪問時には申請書一式を持参して、記入の仕方などの不明な点や注意点を確認しましょう。
まとめ
今回は古物商許可を取得するための大事な3つ要件を中心にお話をしました。
まずはこれらの要件を踏まえて申請の準備を進めましょう。そして、申請内容(取り扱う品目、営業形態、営業所の場所、管理者など)の概要が固まったタイミングで、管轄の警察署(生活安全課など)にアポイントを取って事前相談に行くことをお勧めします。
執筆者:行政書士 曽山 満
行政書士事務所を平成26年1月に川崎市にて開業。許認可業務(古物商、飲食業、宅建業など)、国際業務(ビザ申請、帰化など)が主力業務。相談のしやすさときめ細やかなサービスには定評があり、多方面から相談・依頼を受けている。