こんにちは、FP(ファイナンシャルプランナー)の福永涼子です。
私、お金払わないといけないの??
ほら、お知らせの中に「このたび、国民年金第1号被保険者の資格を取得されました」って書いてあるよ。
今年4月に20歳になった娘に、「国民年金のお知らせ」と「年金手帳」が届きました。
お誕生日直後に、プレゼントのようにそれはそれはタイムリーに😊
※今回の記事では、国民年金の加入にあたっての保険料納付方法の選択肢や制度の種類についてお伝えしていきます
国民年金ってなに?
20歳になると、国内在住の方は国民年金への加入が法律で義務付けられています。
国民年金は、一定の保険料を納めることで、
・老後の生活を支える「老齢基礎年金」が一生涯受け取れる
・老後だけでなく現役世代の万が一の障害「障害年金」や遺族のための保障「遺族年金」も受け取れる
社会保障制度のひとつです。
自分が納めた保険料を将来受給する積立方式ではなく、集めた保険料をその時の年金支給に充てる賦課方式。まさに支え合う制度です。
加入者(被保険者)には、個人で保険料を納付する第1号被保険者(学生・農林漁業者・自営業者・無職の方など)。お給料から天引きされる第2号被保険者(厚生年金に加入している会社員・公務員など)。届け出により個人で納めなくてよい第3号被保険者(第2号の配偶者)があります。
国民年金保険料の額
現在は、月額16,610円です(令和3年4月~)。
実は、国民年金保険料はずっと一定額ではなく、少しずつ上がっています。
(※厳密に言うと、平成10年4月~平成17年3月のように保険料が据え置かれた時期もありますし、その後何度か下がった年もあります。
また、令和4年度の保険料は20円下がり月額16,590円になると公表されています)
国民年金保険料の納付方法あれこれ
「自分(の娘)事」ということで良い機会だと思い、色々確認してみました!
私自身は第2号被保険者なので、年金保険料は基本的に給与天引き。
日頃、納付方法について思いを馳せることは正直ありません。
前納・早割で保険料がおトクに!
実は今回初めて知ったのですが、国民年金保険料の割引を受けることができる方法があります。
前納(前払い)
2年前納(2年分をまとめて前払いする)、1年前納、6か月前納があります。
それぞれ期間によって割引率が異なります。
また、口座振替かクレジットカード納付(継続的な支払い)・納付書かの納付方法の種類によっても割引率が異なります。
【口座振替】
2年前納で1か月あたり約660円、1年前納で約348円、6か月前納で約188円お得に。
【クレジットカード・納付書で現金納付】
2年前納で1か月あたり約607円、1年前納で295円、6か月前納で135円お得に。
口座振替が最強ですが、クレジットカード・納付書利用でも一定の割引があるのは大きいですね。
早割(※口座振替のみ適用)
まるで航空券のようですが、早割というものもあります。
本来、口座振替で毎月納付の場合は翌月末に引落しになりますが、それを当月末引落しに変更することで月額保険料が50円(年間600円)お得になります。
・前納の申込期限は、毎年2月末日(6か月前納は8月末日も)です。
期限が過ぎている場合は、その翌年度から前納制度を使えることになります。
・口座振替(早割)は開始まで2か月程度かかります
そこで母は調べました。
Q.
4月生まれの人が前納で割引を受けたかったら、来年の4月以降からしか適用にならないのか?
A.
① 6か月前納なら今年の8月末日までに申し込みでOK
② 現時点から翌年3月までの残月数分をまとめて前納して、残月数に応じた割引率で割引を受けることも可能
※確認したのが5月中旬だったため、娘の場合は4月の1か月分は納付書で現金納付、5月末日までに手続きをすれば、本年5月~来年の3月分を前納でき、その期間に応じた割引を受けることができる。
そんな裏ワザ(?)もあるのですね!
聞かないと知らないままでした。
学生納付特例制度
20歳になられる方の中には、学生さんも少なくないでしょう。
前年所得が一定基準以下の学生の方を対象として、国民年金保険料の納付が猶予される制度があります。
対象となる方
大学(大学院)、短大、高等学校、高等専門学校、専修学校、各種学校(学校教育法で規定されている修業年限が1年以上の課程。一部の海外大学の日本分校も対象。)に在籍する学生。
且つ、
前年の所得が、128万円+(扶養親族数×38万円)で計算した額以下の場合。
対象になる方で保険料を納付できない場合は、必ず学生納付特例制度の申請をしましょう!
申請することで、下記のメリットがあります。
・老齢基礎年金を受け取るために必要な期間(受給資格期間)に算入される
・病気や事故などで障害が残ったときに、障害基礎年金を受け取ることができる
申請をせずにそのまま放置していると未納扱いとなり、上記の対象外となってしまいます。
申請できる期間
過去の期間は、申請書が受理された月から2年1か月前まで。
将来の期間は、年度末まで申請できます。
1枚の申請書で申請できるのが、4月から次の年の3月までのため、必要に応じて年度ごとに申請が必要になります。
追納制度
学生納付特例制度の承認を受けた場合、納付の猶予期間は保険料を納付したときと比べて将来の老齢基礎年金額が少なくなってしまいます。
それを補える制度として追納制度がありますが、10年以内であれば後から保険料を納めることができるものです。
ただし、特例の承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料額に一定額が加算されることになります。
あえて学生納付特例制度を使わない選択肢も
冒頭に記しましたが、20歳になると国民年金加入は義務となり保険料を納めることになります。
ただ、子供が学生の場合は収入が無いorあってもバイトでお小遣い程度の収入というのが実情でしょう。
本人が納付できない場合、世帯主(親)は連帯納付義務者として納付する義務を負います。
親が代わりに納める場合のメリットもあるので、ぜひ親子で話し合ってみてください。
本人の代わりに親が納めるメリット
親(子供の生活費や学費を払っている)が子供の国民年金保険料を納付すると、親の所得から納付全額を社会保険料控除として差し引くことができる。
仮に子供に所得があっても、親が国民年金保険料を納付することができる(子供の年収制限無し)。
今まで親が子供の分も納付していたけれど申告していない場合は、5年分さかのぼって還付申告(払い過ぎた税金を返してもらう)も可能です。
確定申告時期だけでなく1年中いつでも手続きができますので、心当たりのある方はぜひ確認してみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
結論として、我が家はまだ家族会議中(早く決めなくては!)。
おそらく、学生納付特例制度は使わず、親が前納で納付して所得控除を受けるという方法を選ぶことになりそうだなと思っていますが、学生時代の保険料は出世払いでいつか娘から追納(!)してもらおうかとも考えています。
成人としての自覚自立、世の中の社会の仕組みを自分事として捉えてもらうためにも、そこは大事な視点です。
年金手帳も届きました!
ねんきんネットへの登録もしてもらわなければ!
娘自身は「面倒くさい~」という反応ですが、これから自分の考えをしっかり持って、少しずつでも大人の仲間入りをしてほしいと思っています。
国の社会保険制度は仕組みとして複雑な点も多々ありますが、国民の皆さんにとって身近で大切な事柄です。
将来のマネープランを考える上でも切り離せません。
この記事を読まれて「私は、我が家は、どうなんだろう??」と思われた方は、どうぞお気軽に私たちのFP相談をご活用くださいね!
執筆者:ファイナンシャルプランナー・福永 涼子
2001年にFP資格を取得し、FP仲間と共に子供の金銭教育を推進。その後、銀行での運用相談業務を経て現職に至る。自身の経験もふまえた「働く女性やママの視点」での、お金に関するアドバイス&サポートには定評がある。年間約250件の個別相談を実施。